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【SKYSQUAREの道-040-】多機能地中インフラ構築記〜線〜

【SKYSQUAREの道-040-】多機能地中インフラ構築記〜線〜

こんにちは

株式会社AZSTOKE 中島です。


今回は第40回目のブログ更新になりますのでデザインを一新いたしました。


今回の目的は

設営の手間をゼロにし、音響・通信・照明を集約する地中インフラを築く


SKYSQUAREのプレハブからピットまでの電源供給。


これまでは使用のたびに延長ケーブルを這わせていましたが、車両が通るルートを跨ぐため、設営と撤収には毎回多大な手間がかかっていました。

この非効率を解消し、さらにフィールドの機能を拡張するため、地中配管によるインフラ構築を決定。

今回の工事で通すのは電源だけではありません。

将来的な街灯設置のためのライン、監視カメラ用のPoE(LANケーブル)、そして収録現場には欠かせないマイクプリアンプの接続ケーブル。


これらをすべて地中に集約し、「即座に接続できる環境」を目指します。

SKYSQUAREの利便性とクオリティを底上げする土台を作ります。


これまでのSKYSQUAREの道の記事一覧はこちら

SKYSQUARE

目次



1,1.2mの深掘りに向けた綿密なルート設計


今回の地中配管工事において、最も重要なのが「どこを掘るか」というルート選定です。

単に最短距離を結べばいいわけではありません。


経路考案①


まずは地面にラインを引き、実際の経路を確認します。

ここで最も意識したのは、「可能な限り直線に、曲がる時は緩やかに」ということ。

中に埋設した管の中に後から線を通す際、内部でくねくねと曲がっていると、摩擦でケーブルが通らなくなるリスクがあるからです。

将来のメンテナンス性まで見据えた、こだわりのライン引きです。


経路考案②

ラインは車両通路を横切り、防音壁側の柵へと向かいます。

このルートの最大の特徴は、「1.2m以上の掘削」を前提としていること。車両が上を通る場所では、配管が荷重で潰れないよう深い埋設が必要です。


経路考案③

そしてもう一つ、忘れてはならないのが「ショベルカーの作業スペース」です。

1.2mという深さを掘るためには、重機が安定して踏ん張れる場所があるか、掘り起こした土をどこに仮置きするかといった、オペレーター視点でのシミュレーションが欠かせません。


電気工事士として、そして重機乗りとして。

全ての条件をクリアする「正解のルート」を導き出し、いよいよ掘削の準備が整いました。


2, 掘削の要。自前ショベルカーの投入


今回の地中配管工事において、実作業の核となるのがこのショベルカーです。


ショベルカー導入

SKYSQUAREの開拓において、あらゆる局面で稼働させてきたこの機体。

今回は、これまでの整地や部材移動とは異なり、「1.2mの深さを正確に掘り進める」という重要な役割を担います。

1.2mという深さは、人力では現実的ではない領域です。

この重機のパワーがあってこそ、インフラ構築という一段上のフェーズへ進むことが可能になります。

それと同時に、今回引いたルートを正確にトレースするための、繊細なコントロールも要求されます。

使い慣れた機体の特性を最大限に活かし、SKYSQUAREの地下へ向けて掘削を開始します。


3,掘削開始、そして露呈した「ずさんな埋設物


ルートを再確認し、掘削作業に取り掛かります。

ショベルカーのバケットで土を慎重にすくい上げ、計画通りの深さへと掘り進めていきます。


掘削開始した途端問題が

作業を進める中で、土の中から予期せぬものが出てきました。

以前この土地で使われていたと思われる、古い電線の配管です。


電線をみつける

これを見て驚いたのは、本来あるべき「埋設標識シート」が一切なかったことです。


通常、電線を埋める際は、後年の掘削事故を防ぐために、配管の少し上に「この下に電線あり」と記したシートを敷設するのが鉄則です。

それがないということは、配慮に欠けるずさんな埋設がされていたことを意味します。


幸い、この線が現在は利用されていない「死に線」であることは事前に把握していたため、大きなトラブルには至りません。

しかし、もし生きたラインであれば、重機で引っ掛けた瞬間に大事故に繋がる恐れもありました。

安全第一。

放置された古い配管を慎重に取り除き、改めて自分の手で、確実で安全なインフラを構築し直す決意を固めました。


4,1.2mの深淵。安全と信頼を埋設するための土台完成


慎重にバケットを動かし、障害物を取り除きながら掘り進めること数時間。

ついに、計画していたすべての経路で掘削が完了しました。


掘削完了

目の前に現れたのは、地面を深く切り裂いたような、一本の溝です。

深さはきっちり1.2m。

地上から見下ろすと、その深さが持つ「重圧」が伝わってきます。

これだけの土圧がかかる場所にインフラを沈めるのですから、中途半端な作業は許されません。

今回、あえてこの深さにこだわったのには明確な理由があります。

それは、ここが「車両が頻繁に往来する場所」だからです。

浅い埋設では、数トンの重機や車両が通過するたびに配管へ負荷がかかり、数年後の断線や破損を招くリスクがあります。

電気工事士としての責任、そしてこの場所を長く使い続けるオーナーとしての意地。

その答えが、この1.2mという深さです。


5,予期せぬアクシデント。暗渠パイプの切断とリカバリー


掘削作業が佳境に入ったその時、鋭い手応えと共に、土の中から別の「生きたインフラ」が姿を現しました。

この土地の排水を担う、大切な「暗渠(あんきょ)パイプ」です。


暗渠パイプの破壊

ルート設計の段階で注意は払っていましたが、地中の見えない位置でわずかに重なり、重機のバケットが接触。

見事に切断してしまいました。 地中工事にトラブルはつきものですが、ここで大切なのは「見て見ぬふり」をせず、その場で完璧に直すことです。

もしこれを放置すれば、将来的に地盤の緩みや排水不良を引き起こし、せっかく構築しているSKYSQUAREの土台を脅かすことになりかねません。

急遽、補修作業を開始します。


暗渠パイプ修繕

幸い、予備の暗渠パイプとジョイントは手元にありました。

切断箇所をきれいに整え、新しいパイプを繋ぎ直して、排水機能を完全に復旧させます。

「壊してしまったのなら、前よりも強固に直せばいい」

電気配線だけでなく、水まわりのインフラもまた、この土地を支える重要な要素です。

予定外の作業ではありましたが、一つ一つトラブルを潰していくことで、この場所への理解がより深まっていくのを感じます。

修復完了。これでようやく、本題である電気配管の敷設へ戻ることができます。


6,SKYSQUAREの「神経」を敷設する。FEP管の投入


暗渠パイプの補修を終え、いよいよ本題である電気配管の敷設に移ります。

今回採用したのは、地中埋設用のFEP管

耐圧性と柔軟性に優れ、過酷な地中環境からケーブルを守り抜く専用の管になります。


FEP管の埋設

巻き癖のついた太いFEP管を、1.2mの溝の底へと慎重に下ろしていきます。

一人で扱うにはなかなかの手応えですが、ここで焦りは禁物。

管に無理な負荷がかからないよう、丁寧に伸ばしていきます。


暗渠パイプの埋設②

溝の底を這う一本のライン。

これが将来、スタジオと屋外を繋ぐ重要な信号や電力を運ぶ「神経系」になります。1.2mの深さに鎮座するその姿は、地上で仮置きしていた時とは比べ物にならないほどの安心感があります。

そして、ここで重要なのが「出口」の処理です。


先端は余裕をもって

後で足りないということが内容2本埋設し、配管の末端は、あえて長めに、余分に地上へ出しておきます。


後の埋め戻しで管が沈み込んだり、立ち上げ位置を微調整したりするための「遊び」です。

また、ケーブルの引き込み作業をスムーズにするための、電気工事士としての経験に基づいたマージンでもあります。


7,二段構えの埋め戻し。深さ60cmに込めた「安全」


FEP管の敷設が完了し、いよいよ埋め戻しの工程に入ります。

ここでのポイントは、一気に埋めてしまわないこと。

まずは管を保護するために、慎重に土を戻し、深さ60cmの地点まで埋め戻していきます。


60cm埋設

なぜ、この60cmという中間の深さが重要なのか。

それは、ここが「警告のライン」だからです。以前のずさんな埋設物を見たときに誓った通り、自分の手で構築するこのインフラには、絶対に欠かせない工程があります。


シートで安全対策
しっかりシートを設置

この60cmの高さに、「埋設標識シート」を敷設します。

将来、もし自分以外の誰かがこの場所を掘ることがあっても、配管に到達する30cm以上手前でこのシートが現れ、「この下に電線あり」と警告を発してくれます。

「知らずに掘り起こす」という事故を物理的に防ぐ。

1.2mという深い埋設と、この60cm地点での標識シート。


この二段構えの安全対策こそが、プロのインフラ構築です。

ショベルカーで丁寧に土を押し広げ、転圧しながら、着実に「見えない安全」を形にしていきます。


8,日没の完遂。2日間にわたるインフラ構築の結実


標識シートを敷き詰め、さらに土を戻して転圧を繰り返すと、あの大掛かりな溝は次第に姿を消していきます。

気づけばあたりはすっかり暗くなってきました。

冬の冷え込みが厳しさを増す中、作業開始から丸2日間。

ようやく、埋め戻し作業のすべてが完了しました。


埋め戻し完了

さっきまで1.2mの深さまで剥き出しだった大地は、何事もなかったかのように静まり返っています。

しかし、その地下には、私が自分の手で引き回した強固なFEP管と、将来のSKYSQUAREを支えるための確かな「神経」が通っています。


以前の土地で放置されていたずさんな配管を発見し、暗渠パイプの切断というトラブルを乗り越え、自ら決めた「1.2m」という深さを守りきった2日間。

電気工事士の資格、重機の操縦スキル、そして何より「最高の収録環境を作る」という執念。そのすべてを注ぎ込んだこの工事は、SKYSQUAREが単なる「野外広場」ではなく、本物の「フォーリーフィールド」へと進化するための大きな一歩となりました。


地上の見た目は元通りですが、中身は全くの別物。

これで、どれほど重い機材が通っても、どれほど過酷な嵐が来ても揺るがない、鉄壁のインフラの土台が完成しました。

ここから先は、いよいよこの管にケーブルを通し、スタジオとフィールドを繋ぐフェーズへと移ります。


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