【SKYSQUAREの道-041-】電力の心臓部を強化!30Aから50Aへの昇圧と配電網の拡張〜替〜
- 2月17日
- 読了時間: 10分

こんにちは
株式会社AZSTOKE 中島です。
今回の目的は
スタジオの電力(アンペア)を強化し、フィールドの隅々まで安定した電力を供給する
今回の作業としては
これまでの30A(アンペア)では、機材をフル稼働させるには心許ない状態でした。
今回は、メイン配電盤の容量を50Aに引き上げ、さらに地中配管を通じて屋外の拠点へと電力を伸ばしていきます。
これまでのSKYSQUAREの道の記事一覧はこちら
■目次
1,30Aの限界。クリエイティブを止めないための「50A昇圧」
SKYSQUAREのプレハブ(スタジオ)の既設電源は30Aでした。
この容量では、空調を使用しながら複数の機材をフル稼働させると、ブレーカー落ちのリスクが常に伴います。
プロフェッショナルな収録現場において、電源の喪失は許されません。
今回の拡張計画を可視化した設計図がこちらです。

この計画図の通り、単にプレハブ内の容量を増やすだけでなく、前回埋設したFEP管を経由して、車両通路を跨いだ先の拠点まで電力を供給するのが今回のミッションです。
将来的なフィールドの拡張も見据え、今回は一気に50Aへの容量変更を決定しました。
2, 安全対策して、準備を行う
電気工事において安全の確保は絶対です。
まずは絶縁監視と安全対策として、専用の絶縁手袋を着用。
活線近傍での作業になるため、細心の注意を払います。

屋外配電盤①→屋内配電盤②に通じる幹線を用意していきます。
60Aでも耐えることができる太さの電線になります。
かなり太いので重さにびっくりしました。

PF管も16だと入らないので22を用意し、入れていきます。 配管には通線ワイヤーを利用していれていきます。 一度そのまま入れてみたんですがうまくいかず、通線ワイヤーを使う理由がわかりました。
途中で止まって通らないんですね・・・
いろんな課題が出てますが何とかPF管に通すことができました。

3,既設30A分電盤の撤去。完全な置き換えに向けた解体
新系統を構築する前に、まずはこれまで使用していた30Aの分電盤を完全に取り外す作業に入ります。


作業の第一歩は、確実な検電です。
主幹ブレーカーを落とした後、検電器(チェッカー)を用いて、回路が無電圧状態であることを確認します。
思い込みによる作業は感電事故に直結するため、電気工事士として最も神経を使う工程の一つです。

無電圧を確認後、端子台から全ての電線を切り離していきます。
これまでプレハブ内の各回路を支えていた配線を一本ずつ整理し、新設する盤への移行に備えてマーキングを施した状態で、結線を解いていきます。

最後に、配電盤本体を壁面から取り外します。 これで壁面は一度スケルトンの状態になり、新しい50A対応の盤を設置するための土台が整いました。
古い設備を一度リセットすることで、今後のメンテナンス性も考慮した最適な配置を再考できます。
4,新設配電盤の取り付け。大容量化に伴う基盤構築
旧配電盤を撤去したスペースに、新たな心臓部となる50A対応のシステムを構築します。

今回は、将来的な回路増設やメンテナンスのしやすさを考慮し、一回り大きなボックスを選定しました。
現場での作業時間を短縮し、施工精度を上げるため、内部のブレーカーや端子台などは事前に組み込みを済ませた状態で搬入しています。
大型化したボックスを壁面にしっかりと固定し、ここから各系統へと電力を分配するハブとしての機能を担わせます。


続いて、ステップ2で準備していた幹線(一次側電源)の配線作業です。
50Aの負荷に耐えうる太い幹線を、新設したボックス内へスムーズに引き込めるよう、適切なアールを持たせてルートを確保します。
端子への接続を目前に、最短ルートかつ無理のないテンションで線を配置。
これで、外部の受電設備からスタジオ内部、そして地中配管を通じてフィールドへ向かう電力網の接合準備が整いました。
5,予期せぬアクシデント。通らない・・・
順調に進んでいた通線作業ですが、ここで大きな問題に直面しました。
もともとプレハブの壁面に設けられていた通線口を利用して幹線を引き込もうとしたところ、今回用意した50A対応の幹線が想定以上に太く、配管内のスペースを占領してしまったのです。
幹線自体はなんとか通ったものの、アース線などの補助線を通す余裕が一切ない状態に。
無理に押し込めば被覆を傷つける恐れがあり、インフラの安全性を損なうわけにはいきません。
そこで、既設のルートに固執するのをやめ、急遽壁面に新たな貫通穴を設ける判断を下しました。 ホールソーを使用して慎重に穴を開け、物理的な通線スペースを確保します。
開口部には、下部に入線用の穴がある小型のジャンクションボックスを設置しました。
これにより、太い幹線とその他の線を無理なく、かつ防水性を保ちながら内部へ引き込むことが可能になります。


設置完了後の様子です。
アクシデントによって予定外の工程が発生しましたが、結果として配線に無理な負荷がかからない、より安全で確実なルートを構築することができました。
「現場での臨機応変な対応」もまた、SKYSQUAREを作り上げる上で欠かせないスキルだと再認識した瞬間です。
6,結線作業。14sqの電線と格闘する
壁面の貫通とルート確保を終え、いよいよ引き込んだ幹線を新設の配電盤へと接続する工程に入ります。

新設した大型ボックス内に、ようやく50Aの幹線が姿を現しました。
ここからが電気工事士としての腕の見せ所ですが、これだけ太い線になると一筋縄ではいきません。

ボックスに適切な位置で穴を開け、主幹ブレーカーの端子付近まで線を引き込みます。
内部での取り回しを美しく、かつ無理な負荷がかからないように配置を整えますが、線の反発力が強く、指先の力だけでは制御できないほどの剛性があります。

そして、今回の作業で最も体力を消耗したのが、14sq(スケア)の圧着端子接合です。
50Aという大電流を安全に流すためには、この太さの電線が必須となります。専用の大型圧着工具を使い、全体重をかけるようにして端子を潰していきますが、これが驚くほど硬い。
一本、また一本と確実に圧着していきますが、狭いボックス内でのこの作業は、握力と持久力の限界を試されるような時間でした。
しかし、ここでの「噛み合わせ」の甘さは接触不良や火災の原因になるため、一切の妥協は許されません。


格闘の末、すべての端子を主幹ブレーカーにボルト締めで固定。
ようやく、外の受電設備からスタジオの心臓部まで、50Aの強固な電力ラインが一本に繋がりました。端子の緩みがないか最終確認を行い、結線完了です。
7,アース系統の集約。自作の分岐端子台による効率化
今回の配線拡張に伴い、アース線の処理にも一工夫加えました。 複数の機器や系統から来るアース線を、無秩序に接続するのではなく、一箇所に整然と集約させるための「分岐」を作成します。

アースの接続において、複数の線を一つにまとめるために活用したのがこの端子台です。
事前にジャンパ線(渡り線)を加工して取り付けておくことで、複数のアース線を効率よく、かつ確実に一本の接地線へとまとめられるよう準備しました。

実際に配電盤内へ組み込んだ様子がこちらです。
このように分岐端子台を介することで、後からの増設やメンテナンス時の回路特定が容易になります。
見えない部分ではありますが、こうした細かな造り込みが、最終的なインフラの信頼性と「美しさ」に繋がります。
8,屋外への送り配線。メイン配電盤からの系統分岐
メイン配電盤の結線が完了し、次はこの電力を屋外の各拠点へと送り出すための分岐配線を行います。

主幹ブレーカーから引き込んだ電力を、屋外送り用の各子ブレーカーへと分岐させます。
ここでも確実な通電と安全性を確保するため、一つひとつ丁寧に圧着端子を施工し、緩みのないよう強固に結線していきます。

次に、配電盤ボックスから屋外へ線を出すためのルートを確保します。
ボックスの側面にホールソーを使用して開口。配線の太さや保護管のサイズに合わせ、正確な位置に穴を開けていきます。
既製品をそのまま使うのではなく、現場の状況に合わせてカスタマイズを施す、実戦的な工程です。


ボックスから出た配線は、プレハブの壁面に沿って固定しながら屋外へと導きます。
露出配線となるため、外観の美しさと耐久性を考慮し、サドル等を用いて直線的に、かつがっしりと這わせていきます。
この線が、前回苦労して掘り進めた地下1.2mの「FEP管」の入り口へと繋がっていきます。
9,地中インフラとの結合。プレハブから屋外分電盤へ
メイン配電盤からプレハブの壁面を這わせてきた配線は、いよいよ地面へと潜り、前回構築した地中インフラへと合流します。

地中から立ち上げていたFEP管と、壁面からの配線を中継ボックス内で結合させます。
ここが地上と地下の接点となるため、雨水の侵入を防ぐ防水処理を徹底しつつ、将来的な線の入れ替えも考慮した余裕のあるレイアウトで収めます。
1.2mの深さに眠る配管ルートへ、ついに50Aの電力を送り出す準備が整いました。

そして、FEP管のもう一方の出口。車両通路を跨いだ先に設置した屋外用分電盤へと線を導き、結線を完了させます。
これで、プレハブ内のメイン配電盤から地中深くを通り、フィールドの拠点までが一本の強固なラインで繋がりました。
この「外の分電盤」が完成したことで、広大なSKYSQUAREのどこにいても、安定した電源を即座に確保できる環境が現実のものとなりました。



