【SKYSQUAREの道-043-】天敵「急な雨」を攻略!レコーダー専用の小規模倉庫を設置!~増~
- 3月23日
- 読了時間: 9分

こんにちは
株式会社AZSTOKE 中島です。
今回の目的は
レコーダーを置く際に急な雨が降ったときにカバーできる屋根が欲しい
山梨の広大なフィールドで進めている屋外フォーリースタジオ「SKYSQUARE」の開発。
今回は、収録現場の要である「レコーダー」の安全確保に向けた大きな一歩をレポートします。
巨大ピットの至近距離で重機インパクトや破壊音を収録する際、常に隣り合わせなのが「天候の変化」というリスクです。高精度な機材を急な雨から守りつつ、最短距離で最高の音を収めるために、ピット横へ専用の小規模倉庫を設置することを決意しました。
重機を操り、足場を固め、機材の「防波堤」を築き上げる。
現場の機動力と安全性を飛躍的に高めるための、設置作業の様子をお届けします。
これまでのSKYSQUAREの道の記事一覧はこちら
■目次
1,設置予定地(ピット至近距離)
今回の「倉庫設置ポイント」です。
マイクからレコーダーまでのケーブルの長さを最短に抑え、鮮度の高い音を記録するためには、このピットのすぐ横に機材を配置する必要があります。
しかし、この距離感こそが「急な雨」が降った際の撤収を最も困難にする課題でもありました。
今回はその課題を解決するためにピット付近に小規模な倉庫を設置していきます。



2, 拠点の礎を築く:地盤の掘削作業
人力では時間がかかる掘削作業も、重機のパワーにかかれば一進一退。
みるみるうちに土が掘り起こされ、所定の深さと広さまで正確に掘り進められていきます。
約40cm程度掘っていきます。

「手動転圧」で強固な土台へ。
重機での掘削が完了した後は、再び人間の出番です。
掘り起こした底面を、今度は人力でしっかりと固めていく「転圧(てんあつ)」作業を行います。
ここで使用するのは「タンパー(タコ)」と呼ばれる、重い鉄板に棒がついた原始的ですが強力な道具です。
これを何度も何度も地面に打ち付け、土の中の空気を抜き、密度を高めていきます。

3,雑草対策と、こだわりの「砕石」調達
地盤の掘削と転圧が完了したところで、次はここに「防草シート」を敷き詰め、さらにその上から「砕石」を投入して、さらに強固な土台を作っていきます。
まずは、しっかりと踏み固めた地面の上に、防草シートを丁寧に敷いていきます。 これは、倉庫の下や周囲から雑草が生えてくるのを防ぐためです。
機材を置く場所だからこそ、常に清潔で管理しやすい状態を保ちたい。そんな小さなこだわりが、長期的な運用のしやすさにつながります。

砕石を求めて、採石場へ直行!
防草シートを敷いたら、次は地盤をより強固にするための「砕石」が必要です。 今回もいつも通り、トラックを走らせて、近くの採石場へ直接購入しに行きました。

現場への投入、そして地盤の完成
砕石を積み込んだトラックがSKYSQUAREの現場に戻ってきました。
さっそく、先ほど防草シートを敷いたエリアの隣へ、ダイナミックに砕石を荷下ろしします。
「ザザーッ!」と音を立てて積み上がる砕石の山!!
これを防草シートを引いた穴に入れていきます。


4,湿気・浸水対策の要。既存の暗渠(あんきょ)システムへの接続
地盤を掘削している際、ふと気づいたのが「既存の暗渠パイプ」の存在です。
せっかく倉庫を設置するなら、表面的な水はけだけでなく、地中の排水ルートも完璧に整えておきたい。
そこで、急遽予定を変更し、排水システムを拡張することにしました。
排水ルートの延長掘削
倉庫を置く場所のすぐ近くに、以前施工した暗渠パイプが埋まっているポイントがあります。 そこへ向けて、新たに掘削した穴をさらに延長。
重機と手作業を組み合わせ、既存の排水ラインへと合流させるための「道」を作りました。

暗渠パイプの仮置きと勾配の確認
延長した溝に、新しい暗渠パイプを配置してみます。 単に並べるだけでなく、水がスムーズに既存のラインへと流れていくよう、慎重に勾配(傾き)を確認しながらの作業です。

このひと手間を加えることで、大雨が降っても倉庫の足元に水が溜まることなく、速やかに地下へと排水される仕組みが整います。
「精密機器を守る」という目的のためには、目に見えない地中のメンテナンスこそが最も重要なのです。

5,既存暗渠システムへの精密接続
排水ルートの掘削と勾配の確認が完了し、いよいよ今回の工程のハイライトである「既存の暗渠パイプ」と「新しいパイプ」の接続作業に入ります。
まずは、地中に埋まっていた既存の暗渠パイプの接続ポイントを特定し、そこを露出させます。
そして、新しいパイプを割り込ませるスペースを作るため、意を決して既存のパイプを切断します。火花を散らしながら、正確な位置でカットを完了しました。

ここで登場するのが、今回の接続のために用意した「T字型(チーズ)」の拡張継手(ジョイントパイプ)です。
既存のライン(直線)に対して、新しい倉庫からの排水ライン(枝)を直角に合流させるための、重要なパーツです。

カットした既存パイプの間に、このT字継手を慎重に差し込みます。
サイズはぴったり。
専用の接着剤と締め付けバンド(またはジョイント部)を使い、水が漏れる隙間を一切作らないよう、強固に接続しました。
これで、2つの排水ルートが1つに統合されました。

接続が完了したら、パイプの継ぎ目や周囲を、再び防草シートで丁寧に覆います。
これは、接続部に土砂が侵入して目詰まりを起こすのを防ぐとともに、周囲からの雑草の根がパイプに悪さをしないようにするための保護層です。

これで、地中の排水インフラは完璧に整いました。
急な大雨が降っても、倉庫の下から水がスムーズに排出され、機材への影響を最小限に抑える最強の「防波堤」が完成した瞬間です。
つなげた暗渠パイプを埋め戻しをしていきます。


6,水平器による基礎ブロックの精密な設置
しっかり埋め戻しを行った後に
いよいよ倉庫を支える「基礎ブロック」の配置作業に移ります。
ここでの精度の高さが、倉庫本体の安定性や、扉のスムーズな開閉に直結するため、慎重に作業を進めました。

砕石を敷き詰めた地盤の上に、重量のあるコンクリートブロックを等間隔に配置していきます。 ここで欠かせないのが「水平器」を用いた確認作業です。
わずかな傾きも生じないよう、前後左右、そして対角線のバランスを何度もチェックします。ブロックの下にある砕石の量を微調整しながら、気泡がピタリと真ん中に収まるまで、粘り強く水平を出していきます。

ブロックの中に鉄筋を入れてモルタルを入れることで倉庫の設置を強固にしていきます。
これでかなりの強風でも倉庫が自立してくれるはず!

7,手練りモルタルによるブロックの固定と充填
水平を出した基礎ブロックをさらに強固なものにするため、内部にモルタルを充填して地盤と一体化させていきます。
「トロ舟」での手練り作業
今回は、専用の「トロ舟(練り樽)」を使用して、手作業でモルタルを練り上げるところからスタートしました。 モルタルの粉に適量の水を加え、クワやシャベルを使ってムラがなくなるまで丹念に混ぜ合わせます。
重機でのダイナミックな作業とは対照的に、粘り気を見ながら調整する、地道ながらも重要な工程です。

ブロックへのモルタル充填
練り上がったモルタルを、水平を維持したままの基礎ブロックの空洞部分へ流し込んでいきます。 ただ流し込むだけでなく、内部に空隙ができないよう、しっかりと奥まで充填。
これにより、ブロック自体の重量が増し、多少の振動や天候の変化でもびくともしない安定した支柱へと変わります。

これで、倉庫本体を乗せるためのすべての準備が整いました。
土壌の掘削から排水インフラ、そしてこの強固な基礎づくりまで、一貫して現場に即した施工を行うことで、大切なレコーダーを安心して預けられる拠点が形作られていきます。
8,倉庫本体の組み上げと、基礎への強固な連結
基礎が整い、いよいよレコーダーを守るための倉庫本体を設置していきます。パーツを一つひとつ組み上げ、現地の環境に適応させていく工程です。
躯体の構築:床から壁、そして天井へ
まずは水平を出した基礎ブロックの上に、倉庫のベースとなる床パネルを設置します。
ここがすべての基準となるため、慎重に位置を合わせます。

続いて、左右の壁パネルを立てていきます。垂直を確認しながら固定することで、全体の剛性が高まっていきます。

さらに背面のパネルを取り付けます。三方が囲われることで、一気に「拠点」としての実感が湧いてきました。

最後にスライド式の扉と天井パネルを装着。
これで、上空からの雨を完全に遮断できる筐体が完成しました。

モルタルが固まる前の「連結」作業
今回の設置における重要なポイントが、基礎と本体の連結です。 先ほどブロックに充填したモルタルが硬化する前のタイミングを見計らい、L字のアンカー金具を差し込みます。

この金具で倉庫本体と基礎ブロックを物理的に繋ぐことで、強風時などの浮き上がりやズレを防止します。地中の排水システム、強固な基礎、そしてこの連結。
すべてが一体となり、大切なレコーダーを過酷な環境から守るための拠点が整いました。



